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書いた遠近のリメー

グエリグが逃げてし


「あなたには苛々するわ、スパーホーク」少女の黒い目が険悪になり、弓のようなピンクの唇の端が下がる。
「申し訳ないが、やっぱりセフレーニアと話したい」
 フルートはくるりと目を上に向けた。「エレネ人ていうのは」その口調があまりにもセフレーニアにそっくりだったので、スパーホークは吹き出しそうになった。少女の手を取り、部屋から連れ出して廊下を歩く。
 セフレーニアは自分の服とフルートの服を、ベッドの上に置いた布の鞄《かばん》に忙しく詰めこんでいた。
「お入りなさい、スパーホーク」戸口の前に立っている騎士を見て、教母は声をかけた。
「待っていました」
「どうなってるんです、セフレーニア」スパーホークが不機嫌そうに尋ねる。
「話さなかったのですか」
「話したけど、信じようとしないのよ。こんな頑固な人たちによくがまんできるわね」
「それなりの魅力もあるのですよ」そう言って騎士に向き直り、「この子の話は本当です、スパーホーク。ベーリオンが湖から引き揚げられたのです。わたしもそれは感じました。今はグエリグが持っています。グエリグがどちらの方角に進んでいるか知るために、ひらけた場所へ出なくてはなりません。みんなを起こして、ベリットには馬に鞍をつけるよう言ってください」
「確かなことなんですか」
「そうです。急いでください。まいます」
 スパーホークは廊下に飛び出した。事態の推移があまりに激しくて、考えている時間はない。部屋から部屋を回って仲間を起こし、セフレーニアの部屋に集まるよう指示する。ベリットは厩へやって馬に鞍を着けさせ、最後にカルテンを起こした。
「どうしたんだ」金髪のパンディオン騎士は、目をこすりながらベッドの上に起き上がった。
「セフレーニアが説明してくれる。急ぐんだ」
 カルテンがぶつぶつ言いながら着替えをしているあいだに、スパーホークは部屋へ持ちこんでいた荷物に服を詰めこんだ。廊下を引き返し、セフレーニアの部屋のドアを叩く。
「さっさと入って、スパーホーク。礼儀作法にこだわってる場合じゃないわ」
「誰の声だ」カルテンが尋ねる。
「フルートだ」スパーホークはドアを開けた。
「フルート? しゃべれるのか」
 部屋にはもう全員が集まっていた。みんな口がきけないとばかり思っていた少女を、驚いたように見つめている。
「時間を節約しましょう。わたしはしゃべれるけど、前はしゃべりたくなかった。これで退屈な質問はしなくてすむわね? じゃあ、しっかり聞いて。矮躯《わいく》のトロールのグエリグが、ついにベーリオンを取り戻したわ。サレシアの山の中にある自分の洞窟に向かってるはずよ。急がないと手の届かないところへ逃げられてしまう」
「どうやって湖から引き揚げたんだろう。前にはできなかったのに」ベヴィエが声を上げた。
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